漢方のお話

院長コラム

006 診断と証と二刀流のこと

院長 森合 重誉

西洋医学は臨床検査を経て診断がつくと、処方が決まります。東洋医学は臨床検査の無い時代に、様々な評価方法を先人たちが工夫し、編み出しました。舌診、脈診、腹診などです。所見勘案し、この薬が適切であろうという結論を出します。それが「証」です。高熱・倦怠感を自覚して受診されたケースを例にすると、西洋:迅速検査キットでインフルエンザと診断→抗インフルエンザ薬と解熱鎮痛剤を処方。東洋:患者は太陽病期にあり、麻黄湯証と判断→麻黄湯処方。といった具合です。

本邦では恵まれていることに、西洋薬も東洋薬も同時に処方できますので、麻黄湯で身体の抗病反応を上げつつ、抗インフルエンザ薬でウイルス撃退するという二刀流が可能です。他のアジア諸国では西洋医学と伝統医学の免許が別なので本邦のように「いいとこ取り」はできないようです。


< 005 西洋薬と漢方薬のこと | 漢方のお話トップ | 007 異病同治のこと >

患者さんと一緒に、一番いい治療を探す. そんなクリニックでありたいと思います.