漢方のお話
院長コラム
005 西洋薬と漢方薬のこと

西洋医学の薬は純粋な化学物質で、病巣を直接攻撃することが多いので直線的な用量反応関係が描けます。漢方薬は微量の生薬成分が、作用点を軽く刺激することで、体内のシステム正常化が起きます。つまり元々体内に備わっている、自動修復機能が起動するイメージです(井齊偉矢先生の講演から引用)。即効性のある薬も多く、けして長期投与で体質改善を図る薬ばかりではないです。古代では医療自体が貴重なものだったはずで、進行の速い感染症や急性腹症、外傷などの優先順位が高かったと思います。不眠や自律神経失調、体質改善などへの対応は、だいぶ時代がくだってからのことではないでしょうか。
漢方薬は、その人の体質にあわせ、漢方医学的な病態(証)を判断し治療薬の選択を行います。西洋医学では重視しないような体格の違い、顔貌・顔色の違い、動的・積極的か静的・消極的かといった性格の違い、暑がるか寒がるかといったことも薬選択の指標となります。